涙の枯れる頃


あたしは息を押し殺した。



―――ガバッ

「…ふぇ……っ…」

「…美姫」

被ってた毛布を、呆気なくとられてしまった。


「…何泣いてんの?」

優しく包み込んでくれる日向。

そんな行為も悲しくなって、胸が締め付けられる。


「…っ……ふぇっ…」

日向の首に手を回して抱きついた。
変わらない甘い香り。


でも、これは―――

あの女が好きだと言った香り。



今の私、本当に可笑しい。

全部悪い方向にしか、頭が行かない。


どうしよう。

もう―――
本当にヤバい。



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