涙の枯れる頃




「…美姫、落ち着け」

大きく深呼吸し、何とか落ち着かせた。


「…俺の名前は?」

少し離れ、目の前で自分を指す日向。


「…日向」

「これは?」

大きな花瓶を指差してる。


「…花瓶」

「今、何時?」

時計を指さしてる。


「…9時23分」

あたしが答えると、日向に再び包まれ、頭を撫でてくれた。


「…頭に異常はないみたいだな」

そっか。
検査してくれてたんだ。

日向は放れて、コンビニ袋を手にした。


「…適当に買ってきたけど、何がいい?」

日向はコンビニ袋を差し出した。




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