涙の枯れる頃
「ああ゛? なんだって?
言いたい放題言ってんじゃねーよっ!!!」
あたしの言葉にキレたらしい、
女が手を振り下げてきた。
ヤバっ!!!
―――パシッ
「…止めろ」
金髪の男が、女の手を片手で止めている。
「や、やや、山本…君!!! なな、何でっ!!」
「へぇー…。
こんな事してたんだぁ~。
変な趣味持ってるんだね。怖いねぇ~」
男はとても黒い笑みを浮かべて、女を睨んだ。
―――ゾクッ
一瞬、背筋にとてつもない寒気がした。
女達は、顔を赤くしながら、
悲鳴をあげ、逃げて行った。
男はそれを見て、大きな溜め息をついた。
「…君、立てる? 大丈夫か?」
男はあたしに、心配そうな顔をしながら、
手を差し伸べてきた。
……可愛い。
この人…男なのに無駄に可愛い。
大きくて、クリクリした目に、
薄くてぷっくりした唇。
そして、金髪に黒のメッシュが入ってて、
無造作に跳ねた髪……。