涙の枯れる頃
「まあ。
こんな美人さんだと、話が別だよな~!
でも俺は女の為に、そこまでしないけどな~。
アンタ、雪君の女なの?
雪君も鼻が高いねぇ――…」
…何?
意味が分からない。
…雪はここに、1人で来るの?
ダメっ!!!
絶対ダメ!!
「おうおう。こんなに震えちゃって…」
男はあたしの太股に手を置いてきた。
そんな事にも、気付かないほど、
頭の中は、雪でいっぱいだった。
…雪、来ちゃダメっ!!!
ダメだよ…!!!!
だけど、もう、
………遅かった。
物凄い音と共に、目の前が一気に明るくなり、目が眩む。
「美姫っ!!!!」
…どうして。
どうして来たのよっ!!!!
目から、沢山の涙が溢れ出た。
「…テメェ。…美姫から手を放せ…」
雪は見た事もない表情で、男を睨み、
ドス黒いオーラーを放ってる。