涙の枯れる頃




「まあ。
こんな美人さんだと、話が別だよな~!

でも俺は女の為に、そこまでしないけどな~。

アンタ、雪君の女なの?


雪君も鼻が高いねぇ――…」


…何?
意味が分からない。

…雪はここに、1人で来るの?


ダメっ!!!
絶対ダメ!!


「おうおう。こんなに震えちゃって…」

男はあたしの太股に手を置いてきた。


そんな事にも、気付かないほど、
頭の中は、雪でいっぱいだった。


…雪、来ちゃダメっ!!!
ダメだよ…!!!!

だけど、もう、
………遅かった。


物凄い音と共に、目の前が一気に明るくなり、目が眩む。


「美姫っ!!!!」

…どうして。
どうして来たのよっ!!!!

目から、沢山の涙が溢れ出た。


「…テメェ。…美姫から手を放せ…」

雪は見た事もない表情で、男を睨み、
ドス黒いオーラーを放ってる。



< 26 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop