涙の枯れる頃
恋の予感
「……うぅ゛…ふぇ………っ…」
「…ごめんね。もうちょっと我慢して」
直人の優しい言葉にも、気が行かない位、さっきとは打って変わって頭が痛い。私の目からは、涙が次々とこぼれ落ちる。
~♪~♪~
「…またか」
男の携帯が鳴り、男は部屋を出て行った
「……っ…う゛……」
「これで最後だから」
「……ん゛っ…」
「よしっ!!頑張ったなっ!!!」
私は咄嗟に直人に抱きついた。
上からは、直人の優しい笑い声が降ってくる。
「…ふぇ……直人ぉ…」
「ごめんな?…でも、もう大丈夫だから。……ハァ。…美姫に嫌われたらどうしようかと思った…」
…え? 私が直人を嫌う?
んなワケ無いじゃん。
「…グスッ……直人ぉ…」
「…クスっ…美姫、子供みたい」
…子供みたいでも、イイ。
ただ。
…今は、温もりが欲しい。
今まで、心の中が1人だったから。
……甘えたく、なるんだ。
“愛”が欲しいんだ。
私に、ホームシックは一生来ないだろう。
あんなお家を愛しく思う事は……。
「……可愛い過ぎ」
そんな直人の優しい声に、私の胸は異常に高鳴った
もっと…直人の笑顔みたい。
私が直人を見上げると、直人は顔を赤くしながら、すぐに目を逸らした。
「…グスッ……直人?…」
「……美姫。今は見ないで」
……え?
なん…で?