涙の枯れる頃
―――――ギュっ
「わっ…」
後ろから優しく、甘い香りに包まれ、もう、どうにかなっちゃうんじゃないかってくらい、胸が高鳴り、体が熱くなった
「美姫♪ありがとっ!!!」
雪が耳元で囁いたもんだから、もうバクバクと心臓が激しくなってる
…ヤバイ。
私、このまま死んじゃうんじゃない?!
「美姫真っ赤。体も熱いし…大丈夫?」
雪の心配そうな顔が目の前に現れ、もう頭がクラクラ。
「…全然、大丈…」
―――――ドンっ
「わっ!!!美姫?!!」
「美姫ッ!!!」
「おいっ!!!!」
私は、ゆっくりと意識を飛ばした
目を開けると、知らない部屋に来てた。
窓から零れる綺麗な夕日で広い部屋が茜色に染まっていた
「……此処」
「……やっと起きたか」
「え・・・?」
後ろを振り向くと、ソファーに腰掛けて、雑誌を片手に携帯を耳に当てながら私を見てる男がいた
「…yes.she get up.…no.……tell me cook diner…」
また、両親から?
……本当に凄いな。
「…no.…hary……」
男は電話を切り、私に近づいてきた
私は近づいてくる男の目を見てた
男は私が寝てるベットに腰掛けて、私の額に手を乗せて微笑んだ