涙の枯れる頃
スパイ
――ガチャ
「日向さん! おはようっス!!」
「おはようございますっ!!!」
「今日もカッケぇ~!」
「ヤバイだろ! あのオーラー!!」
「ってかあの美人誰だ?!」
「彼女なんじゃねーの?」
「日向さんやりますねぇ!」
……まさか。
こんなカッコイイ日向の彼女がこんなブスじゃ…。
…ハァ。
自分で言って落ち込むわ。
にしても。
此処、男達多すぎ無い?
気のせいか?
その中に、一人だけ…。
「…?」
「…どうした?」
「ううん。……ちょっと先行ってて。
…私、ちょっとトイレしたい」
「分かった。トイレはあっちだから」
「…うん。ありがと」
日向は私のケガを避け、頭を撫で、奥の部屋に入って行った。
「…日向さん、カッケぇ~」
男共から、また歓声が上がった。
…トイレに行きたかったわけじゃ無い。
ただ……。
一人の人に近づいた。
男達はざわめき始めた。
「ねぇ。名前…なんて言うの?」
私が話しかけた男は驚いてる。
「……優真」
ユウマ
「優真ね。よろしく」
手を差し出した。
優真は小さく微笑んで、私の手を握った。