涙の枯れる頃
あの人
――ガチャ
「「「お帰りなさいませ。美姫様」」」
「ただいま」
これも、いつもの事。
あたしのお家をはっきり言うと…。
「遅かったじゃないの。
どこで何をしていたのかは分からないけど…」
奥の大きな扉から、
あの女が高いハイヒールの音を響かせながら、出てきた。
「すみません。お母様。
学校で先生のお手伝いをしておりまして…。
気づくと、こんな時間に…」
…超大金持ちな家庭。
お父さんが、約36件のマンションを持ってるから。
……本当。
投資家っていい迷惑だよね。
何もしないでも、
お金が入ってくるんだから。