涙の枯れる頃


「俺の名前は…知ってるみたいだね」
拓真は優しく笑って私の涙を拭った

「拓真、何年寝てたと思う?」
「ぇ…?何年って……」
拓真は信じられないとでも言うように私を見てきた

「やっぱり?分からないんだね。
拓真が寝てた時間は…3年間だよ」
「はあ?」
拓真はそうとう驚いたのか固まってる

「…拓真は、3歳年とったんだよ。
…みんな、心配してたんだよ?」
私は静かに囁いた

「マジ…で?」
「…うん」
すると、拓真は驚いた顔をした

「…なあ。
美姫、俺を日向達の所に連れて行ってくれ」
「ん。もちろん!!」
私は車イスを動かした

エレベーターに乗ると、急にドキドキしだした

「きっと、日向達吃驚するだろうなぁ」
私は、日向達の吃驚する顔を思い浮かべると、顔がニヤけた。

「…雪とか泣いたりして!」
私が一人で笑ってると、拓真は車イスに乗りながら、私を見上げた

「…美姫、変わってるね」
「良く言われちゃうんだよね~…」
私は、大きなため息をついた

そのおかげで、今まで散々イジメにあってきたし。
何か、無関心なんだって…。

そんな事無いんだけどな。

ただ、楽しい事が無かったんだもん。


しょうが無いじゃん。

「ハハッ!!!
美姫みたいな子、初めて見たっ♪」

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