涙の枯れる頃
「…美姫、ありがとな」
日向が目に少し涙を溜めながら笑顔で、私の頭を撫でた
あの子供の事は、何一つ知らない。
ただ。
知ってるのは、あの子が本当にケガを治せると言う事。
……この病院内にいるかもしれない。
だとしたら、探そうと思えば探せる。
だけど。
私は、このままの方がいいと思えた。
…理由なんてない。
ただ、
あの子の事を、私が覚えていればそれでいい。
…一生忘れないよ。
沢山の感謝をしてるから。
…忘れる事なんて出来ない。
あの子の力は凄い。
こんなに沢山の人達を、笑顔にしてくれるんだから。
あの子からの、贈り物。
不思議な物で、大きな事。
…ありがと。
心からの笑顔を沢山くれて。