涙の枯れる頃
私は、日向の胸に埋まる形になった
日向の胸からもテンポ良く、鼓動の音がして…。日向に包まれてると、物凄く安心出来る。そして、暖かくて、甘い香りに眠気が襲ってきた。
重い瞼を開けて、日向を見上げると、優しく口角を上げて、頭を大きな手で撫でてくれた。
「…ひゅ……が?」
「ん?」
優しく、低い声。
「……おや…すみ」
「…おやすみ」
不器用に微笑む姿に、心が揺らされる。
……まるで、揺りかごの中に入ってて、とても大事にされてる子供みたい。
……そうだったら、いいのに。
でも、すぐに日向の顔を見て、幸せな気持ちは吹き飛ばされた
何でかは、分からない。
けど、ケド―――――
日向の頬に――――
綺麗な光が伝わってたんだ。
何で…?
何で君は…泣いてるの?
この時、私は――――…
君を…見とく事しか……
――――出来なかったんだ。