涙の枯れる頃


みんなは、気づいて無いみたい。
当の日向も――――…。


女の人は私に目を移すと、驚いた様に、頭を下げ、トイレに駆け込んでいった。

私は、咄嗟に立ち上がった
「美姫?どうしたの?」
「あ……うん。トイレに…」
「…?そう?んじゃ、気をつけてね?」
「……う、うん」
私は、トイレに駆け込んだ
すると、さっきの女の人が、仁王立ちをして、私を待ってたかの様に、煙草を吸っていた
トイレの中は、煙草の煙が充満してる

「…やっぱり来たわね」
女の人は近くで見ると、本当に綺麗で、羨ましかった。

さっきの表情が嘘の様に、腕を組んで、片手で煙草を吸っていた
…でも。日向と、どういった関係なの?

「…日向の事、知ってるんです…か?」
「知ってるわ」
「…どういう、関係何ですか?」
女はまるで、私を見下した様に、口角を上げた。
その態度に、心からドロドロした気持ちが溢れ出す。

女はそんな私を見て、口角を上げ言葉を発した。

「…元カノなの」

え?日向の?


女の言葉を聞いた瞬間、心が崩れ去った様な気がした。





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