涙の枯れる頃


一番聞きたく無かった単語を、あっさりと言われて、頭がついて行かない。

「…ぇ?」
「だから。私は日向の元カノなの」
女は、“日向は”と言う言葉を強調して、勝ち誇ったかの様に、怪しく口角を上げて、私を見た

「……ぅそ…」
日向の……元カノ?
嘘…でしょ?

でも、そんな事を思っても、
………私は日向の事を、少ししか、分から無い。

私は日向の事、何も…知らないんだ。


「アンタ、日向に抱かれて無いでしょ?」

……ぇ?
何、それ?

……抱かれた?

「その様子じゃ、無い様ね。
日向、激しくて気持ち良かったわぁ~!!
私、スグに意識無くなっちゃったもの」
…ヤだ。何、言ってるの?

私の目に、熱い物が込み上げてきて、目に映ってる、怪しい笑みを漏らす女の顔がぼやけてくる。

……聞きたく無い。
聞きたく…無いよぉ。

「もう、日向の香水の匂い。
アレ、私が大好きだった匂いで、日向に言ったら――――…」
「ヤメテッ!!!聞きたく無いっ!!!」
私は心から溢れてくる感情を抑え切れ無くなり、トイレを飛び出した


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