殺人ビル
(・ω・)
5月6日、彼は家を飛び出した。大学へ進学して早々に父親の病気が悪化し金が払えなくなった。死ぬほど勉強したのに1ヶ月そこらで退学、まるでテレビドラマのような非現実的シナリオだ。だから彼の頭の中はゴチャゴチャだった。不安、恐怖、絶望、怒り、憎み、殺意どれ一つ喜びの感情はない。

彼は壊れた。今までの成績優秀、優しく、真面目で正直な彼はどこにもいない。負のイメージしか頭にない、感情もない、廃人だ。

行き場も無しにフラフラと夜道を歩いているとヤクザが9人彼を囲んだ。
「ずいぶん酔ってんじゃん兄ちゃんよぉ」
ヤクザの一人がそう言いながら鉄パイプを肩めがけて振り下ろした。
ーボキッなにかが折れた音がしたが彼は呆然と立っている。肩から凄い量の血が流れている。彼はニヤリと笑うとヤクザの目に指を突っ込んでかき回す。
「あああああぁぁぁぁぁ」
ヤクザは鉄パイプを落とし背中向きに倒れ目を押さえながらもがいた。彼は鉄パイプを拾い上げるとヤクザの口の中に思いっ切り突き刺した。口から凄い量の血が溢れ出してくる。もうヤクザは死んでいるが彼は何度も口に鉄パイプを突き刺した。
気づいた頃には太陽が昇り始めていた。日の出に照らされたヤクザの顔は挽き肉のようにグチャグチャになっていた。
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