殺人ビル
ーそこには4畳位の小さな暗い部屋があった。壁も床もコンクリート製であんな豪華な扉など似合わない殺風景な部屋だった。
「なんだ・・・」
あまりに期待外れな部屋にガックリと肩を落とす。中に入り辺りを見回す。暗くてよく見えない。

ーバタン!

後ろの扉が突然閉まった。
「なんだ!?」
すると部屋が一気に明るくなった。彼の前の壁が透明になる。さっきは暗くて気付かなかったが部屋の壁の一面はガラス張りになっていた。ガラスの向こうの光景を見て彼は驚いた。自分と同じような個室に閉じこめられた人が5人いる。
「むこうに5個部屋があるってことはこっちも5個あるのか?」
二の字に部屋が並んでいるとしたら少なくても10人、もし側面にも同じような部屋がロの字にあったとしたらたら20人いることになる。向こうの部屋の奴はこっちに向かってなにかを叫んでいるがガラスは厚く距離も離れているため聞こえない。
改めて辺りを見回すとなにか箱が落ちている。拾ってみるとそれはなにかのモニター。カーナビくらいの大きさで最近の機械にしては重く厚い。 側面にある電源スイッチのような所をスライドさせた。すると青白い画面になり荒い音声がながれた。
「あと10分後に扉が開きます。そうしたら3時間以内に人間の体2kg以上をこの部屋に持ってきてください。そしたらアナタは賞金10億をもって解放されます。」
「これは・・・」
いやな汗がでる。嘘だと分かっていても汗がとまらない。こんなことありえない。青白い画面が消え電源が切れる。それからの10分は果てしなく長く感じた。
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