ラスト・ゲーム番外編

「うわ…懐かし」

ページを開くと、そこにはまだ長い髪を二つにしばった麻子の姿。

高校一年生。麻子がショートにする前の髪型だ。

まだどこかしっくりこない制服は、無理やり貼り付けられたように少し浮いて見えた。


「若けぇな」

「ね!そういえば髪長かったなぁ」

「…猿になる前だ?」


ベシッという渇いた音と共に、後頭部周辺に痛みが走った。


ページをめくると、次々と現れるユニホーム姿の選手たち。

どの写真にも笑顔が溢れていて、見ているこっちの顔も思わず崩れる。


「お」

女子の部員ばかり続いていたページの次、突如現れた翔太の顔。

写真の中の翔太はやっぱりふざけた顔をしていて、でもどこか少しあどけなかった。


「そういえば一番最初に話した男バスの部員も翔太くんだったなぁ…」

懐かしげに呟く麻子。


「最初らへん、元とはあんま話さなかったよね?」

「あ〜…、そうかも」

「元、最初はなんか恐かったもん!」

近寄りがたいオーラ出てたし、と悪戯っぽく笑う麻子。初めて聞いた事実に、なんだかひどく驚いた。


「でも、バスケすんごいうまい子だなぁってずっと思ってたけどね」


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