ラスト・ゲーム番外編
次々とめくられていくページ。
─飾り気のない翔太の笑顔。
─満足げなカバの笑顔。
─控え目にピースサインを出して微笑む青木。
「…ほんと、楽しそうだな」
沢山辛いことはあったはずなのに、写真の中人たちはみんな笑っていた。
「「…あ」」
辿り着いた最後のページ、麻子と俺の声が重なる。
並んだ二人。
緊張を隠そうとするかのように、キュッと結ばれた俺の口元。
『せっかくだから、一緒に撮らない?』
…紛れもなく、あの時の写真だった。
「うわ〜…懐かし!」
なぞるようにその写真に触れ、笑みをこぼす麻子。
「ふふ、元、仏頂面だなぁ」
「うっさい。…緊張してたんだよ」
俺の返答に、麻子の目が丸くなる。
なんだか気恥ずかしくて写真へと視線を戻すと、頭の上から優しい声が降ってきた。
「…でも、あたしも緊張してたよ」
「え?」
「断られないかなぁって、ていうかあたしのこと知らないんじゃないかなぁって…でも、話してみたかったんだ」
あ、じゃあ初めて話したのってこの時だ!と麻子は照れたようにはにかんで笑った。
「…ね、元」
「ん?」
「覚えてる?これ撮った時のこと」
麻子の瞳の奥で、映りこんだ俺の陰が揺れ動く。
「…さぁな」
─うん、覚えてるよ。
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