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「そっか…伊藤さんがいなくなったら淋しくなるな」

柴崎さんが少し淋しそうな顔をした

「ごめんなさい」

「何で伊藤さんが謝るの?」

「ごめんなさい」

だって本当に柴崎さんいい人なんだもん…

思わず涙が出てくる

そんな姿をみた柴崎さんが

「最後一日がんばって」

と私の背中を叩いた

「あっそうだ直哉どうする?俺が引き継ごうか?たぶん伊藤さんじゃないとあの直哉っていう人は駄目だと思うけど…」

って私の顔を覗き込んだ

そうか…

仕事を辞めるって事は直哉さんともお別れなんだ…

「今日、お別れします」

「そっか直哉も伊藤さんに振られたか…」

そんな事言わないで…

「ごめんなさい」

「冗談冗談最後に意地悪少ししてみただけ」

柴崎さんが握手を求めてきた

「伊藤さん、もし泣くような事があったらいつでも胸かすからいつでも会いに来て」

私も握手に答えた

「ありがとうございます」

「おばさんになってこられても困るけどね(笑)」

(笑)

「ヨボヨボになって入れ歯になったら来ますよ(笑)」

って冗談で返した

一瞬の間が二人を包んだ

「伊藤さんのそういうところ好きだった」

握手をした手を引き寄せられて苦しいくらい強く抱きしめられた

「あと1分だけこうさせて」

柴崎さん…

長い沈黙のあと

「あーーーーすっきりした ありがとうあったまった」

と言いながら柴崎さんが私から離れた

その後ろ姿は、泣いてるように思えた

「仕事戻っていいよ 俺しばらく屋上にいるから」

どう声をかけたらいいのかわからなくなって

「ごめんなさい」

と言い残してその場を去った



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