MAIL
「圭矢くるしいー」

きつく抱きしめすぎたのか真奈美がトントンと背中を叩く

「ごめん」

腕を緩めると今度は真奈美がギュッと抱きついてきた

「圭矢の心臓の音が聞こえる」

真奈美の髪の匂いが甘くてすごくドキドキする

こんな幸せがずっと続くといいのに…

その時、俺の腹時計がぐーっとなって幸せ中断

真奈美が大笑い

「ごめん今カレー作るから(笑)」

そういうと真奈美は俺から離れてキッチンでお鍋に水を入れだした

「俺もなんか手伝おうか?」

何もできないのに思わず声をかけてしまう

「ごめんこれで縛っておいてくれる」

さっき買ってきた紐を渡されて本を指差された

「縛るってお前を」

冗談で真奈美の体を荷造り紐で結ぶ

たまねぎが地面に落ちて

一瞬変な空気が流れた様に感じて

真奈美を見ると少し震えている気がした

「あっバカ!私じゃなくてあっちの本!」

次の瞬間いつもの真奈美だった

俺…
今もしかして最悪な事した

「ごめん」

真剣に謝っていた

「なんで謝るの?意味わかんないんだけど(笑)」

そういいながらカレーを楽しそうに作る真奈美を見て

なんともいえない罪悪感が体を縛り付けた

「ごめん」

そういい残して体は家を飛び出した

「ちょっえっどこ行くの?」

真奈美の声が遠くなっていくのを感じながら

あてもなく知らない街をさまよった














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