MAIL
「圭矢ちょっと私出かけていいかな?」

タバコを吸っているといきなり真奈美が切り出した

「どこ行くの?」

また離れると不安になる

「内緒」

内緒ってもしかしてあいつのところ?

「じゃあ行かせない」

反射的に真奈美の腕をつかんでいた

一瞬の間があって

「圭矢の服を買いに行こうかと思って…」

とつぶやいた

おれの?

「服?」

俺、服なんか

「要らないよ」

それより真奈美と一緒にいたい

「だって血がついてるよ」

「このくらい大丈夫だよ」

「だって少し破けてるよ」

「このくらい大丈夫だって」

本当に大丈夫だから

「だって…だって…嫌なんだもん」

嫌?
あっそうか

「気がつかなくてごめん 血がついてる服の俺と歩きたくないよな…」


「違うの…」

「何が?」

「だって…彼女の選んだ服着ていてほしくないんだもん…」

え?
もしかして妬いてくれてる?

「嬉しい…」

そう言って

思わず真奈美を強く抱きしめた

本当に嬉しい…

「俺も一緒に行っていい?」

今は真奈美のそばから離れたくない

「いいよ 一緒に行こう」

そういって真奈美はニコッと笑った

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