MAIL
メール以上




メールを読み終えて今までの出来事が頭の中で一つになった

直哉さんが圭矢だったなんて…

でも考えて見たらずっと直哉さんは圭矢さんだった

言葉のやり取りや出来事の一致

レイプされた時の苦しみを忘れさせてくれたのは直哉さんじゃん

直哉さんは圭矢じゃん

私はいっぱい後悔してくれている直哉さんを知ってる

圭矢はいっぱい私を見るたび罪悪感と後悔してくれていたんだね…

それだけで十分だよ

バカじゃないの…
バカじゃないの…
バカバカバカバカ!

びっくりしたけど、でも今更こんだけ好きにならせておいて嫌いになんてなれるわけないじゃない!

帰ってきたら一発殴ってやるんだから!

バカバカ圭矢め!


そう思っていたとき

ガタンという音とともにドアが開いた

圭矢だ!

ほんとになんて言ってくるんだろう

様子を見て

心で笑いながら知ってたもーんって言ってやるんだから!

そう思いながら玄関に行くとそこには血だらけの圭矢がいた

またまたケチャップか何かでしょ

そう思いながら殴ってやろうと近づく

それは紛れもなく血だった

時が止まる

その瞬間、私に気がついた圭矢が真っ青な顔で私を見ると

「ごめん…真奈美…」

といって握り締めた血がべっとりついた封筒を差し出した

うけ取るとその場に倒れこんだ

「あっああああっ」

一瞬震えて体が動かない

声にならない

「けっけっ警察ちがうきゅっ救急車、誰か助けてー」

「圭矢圭矢圭矢圭矢ー」

圭矢を抱きしめると
圭矢に買ってもらった服が真っ赤に染まっていく

「誰かお願い助けてー」

泣きながら何度も叫んだ

その声と滴り落ちる血で人が集まってくるのがわかった

でもでもでもでも

体が震えて動かない…

私はただ圭矢圭矢と連呼するしかなかった






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