思いを手のひらにのせて
河野はわたしたちに訴えた。
 
健聴者の多くが、耳の不自由な人は
手話を使えると思っているだろう。

聞こえにくさは補聴器を使えば
解消されると思っているだろう。

見た目にはわかりにくい
聴覚障害を多くの人に理解して欲しい。

サークルは
第1、第3金曜日が要約筆記部、
第2、第4が手話部、と別れて
活動している。

手話のみ学ぶもの、
要約筆記のみのもの、両方学ぶもの、
サークルメンバーは自分に合ったやり方で
聴覚障害者支援をしている。

聴覚障害者支援には
手話も要約筆記もなければならない。

幸太はどんな思いで聞いているのだろう?

横目で幸太を探した。

幸太とは同じグループでなかったので
席が少し離れている。

幸太のとなりで、
筆談で通訳をするメンバーがいる。

幸太もまだ手話が完全に
読み取れるわけではない。

手話を理解できない部分を
要約筆記者に補ってもらっていた。
 
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