思いを手のひらにのせて
聴覚障害者の職業選択は
限りなく制限されていると言う。

裁縫や理美容、耳が聞こえなくても
やれる仕事に限定されてしまう。

職業選択の自由など無いに等しく、
将来への希望や夢を抱いても
実現しない場合がほとんどだ。

夢を見ることを禁止され成長していく。
 
後ろの方から
「かわいそう」と言う声が聞こえた。

わたしも泣きそうになった。

小さな怒りが心の奥底でくすぶっていた。
 
健常者であれば必ず聞かれるはずだ。

「大きくなったら何になりたい?」

夢を持つから自分の人生を
切り拓いていけるのではないのか? 

『夢を見るな』なんて『死ね』と言うのと
同じくらい残酷だとわたしには思えた。
 
小さな差別はどこにでも転がっている。

成績のこと。容姿のこと。
デブ、ブス、はげ、チビ‥。
 
< 13 / 34 >

この作品をシェア

pagetop