思いを手のひらにのせて
それから数日後、
わたしと同じ高校に通う妹が
憮然とした様子で帰ってきた。
 
「お姉ちゃん、陰山に習ったことある?」
 
わたしは苦笑いしながら答えた。
 
「あるよ。やりたい放題だよね」

妹は半ば吐き捨てるように言った。

「あの先生、陰山浩のお母さんだよ」

 陰山浩。

唐突だったが
聞き覚えのある名前ではあった。

ええっと、ええっと‥。

頭の中で記憶を回転させる。
 
「あー、あーあーあー、あの陰山浩かあー。
あんたの同級生で嫌われ者の」

過去のエピソードが蘇ってきた。
 
小学生の頃、クラスに一人は
女子全員を敵に回すような男子がいた。

陰山浩もその一人だった。

何かにつけ女子をからかおうとする。
 
妹は陰山浩に「チビ」と
バカにされることが多かった。
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