思いを手のひらにのせて
妹は当時から
陰山浩の人間性に腹をたてていた。

確かに幼稚で、程度の低さには
第三者でさえも憤慨させられた。
 
妹はたまたま入学した高校で
陰山浩の母親に遭遇してしまったのだ。

陰山は妹のクラスの担当ではなかったが、
良くない評判は聞こえてきたようだ。

かつて散々嫌な思いをさせられた
陰山浩の母親であることも、
同じ中学出身の同級生の子から
教えてもらったらしい。
 
「今でも陰山浩は嫌な思い出だけど、
あんな人が母親だったら仕方ないね。
人様に英語を教えるより前に
息子に優しくしてあげて欲しかったよ」

全くもって同感だった。

陰山は母親としても息子の前で
きゃんきゃん吠えていたのだろう。

小学生の頃、陰山浩があれだけ
迷惑な言動を見せたのも理解できる。
 
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