思いを手のひらにのせて
断片的にしか読み取れなかった。

後から幸太が教えてくれて、
心に重く響いた。

確かに失われた聴覚を
取り返すことはできない。
 
幸太と出会わなければ、
音の無い世界で生きている人たちに
思いを馳せることなどできなかった。

こんな世界があることを
知ってしまったからには
伝えていかなければならないと思った。

それが知ってしまった人間の義務だと思う。
 
周りにいる人たちが
「何かお手伝いしましょうか?」と
声をかけてくれるのなら、障害がある人も
日々の生活の中で困惑する場面が
少なくなると思う。
 
そんな優しい気持ちを持つ人が
増えていけば、聴覚障害者だけでなく、
全ての人が暮らしやすくなるだろう。
 
子ども達は勉強やスポーツができなくても、
容姿が優れていなくても、
勇気と自信を持って
生きていけるのではないだろうか? 

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