思いを手のひらにのせて
わたしは勇気を出して
青年に近づき声をかけた。
「あのー、先週もお会いしましたよね」
青年は本を読んだまま
うつむいているせいなのか、
わたしに気がつかない。
もう一度声をかけようか、
どうしようかと考えていると、
青年はわたしを見あげた。
青年は少しためらいがちに
「もしかして
ぼくに話しかけられましたか?」と
わたしにたずねてきた。
わたしは先週の出来事を青年に説明した。
「ぼくは耳が不自由なので、
話しかけられてもわからないことが
あります。本を拾ってくださって
ありがとうございました」と
答えてくれた。
わたしはハッとした。
バッグからメモ帳とペンを取り出した。
ゆっくり大きく口を開けて話すと、
ある程度は口の形でわたしの話すことが
理解できるようだった。
筆談と一般的な会話で
わたしはひたむきに伝えようとした。
そしてひたむきに
彼の言葉を理解しようとした。
青年は『音無幸太』と名乗った。
ちょっと舌足らずな口調だった。
ためらう事無く、
自分のことをいろいろ教えてくれた。
青年に近づき声をかけた。
「あのー、先週もお会いしましたよね」
青年は本を読んだまま
うつむいているせいなのか、
わたしに気がつかない。
もう一度声をかけようか、
どうしようかと考えていると、
青年はわたしを見あげた。
青年は少しためらいがちに
「もしかして
ぼくに話しかけられましたか?」と
わたしにたずねてきた。
わたしは先週の出来事を青年に説明した。
「ぼくは耳が不自由なので、
話しかけられてもわからないことが
あります。本を拾ってくださって
ありがとうございました」と
答えてくれた。
わたしはハッとした。
バッグからメモ帳とペンを取り出した。
ゆっくり大きく口を開けて話すと、
ある程度は口の形でわたしの話すことが
理解できるようだった。
筆談と一般的な会話で
わたしはひたむきに伝えようとした。
そしてひたむきに
彼の言葉を理解しようとした。
青年は『音無幸太』と名乗った。
ちょっと舌足らずな口調だった。
ためらう事無く、
自分のことをいろいろ教えてくれた。