一等星
「…お前、どんだけ飛ばしてんだよ。俺抜かされたぞ。」
色黒で短髪、いかにもスポーツが出来そうな男子生徒がハルカの自転車の隣に自分の自転車をとめた。
「あっシュージ。気がつかなかった。夏休みの間、元気だったー?」
「気がつかなかったって…元気じゃねーよ。まぢ予備校に通うだけで終わった。」
「あはは。私も学校の夏期講習出て終わった。」
「お前、…それだけ?」
「うん。別に大学なんて行かなくても良いし。」
「えっまじかよ?お前進路調査表に東信大が第一って書いてあったじゃん。」
「あ、あれは何となく。アヤの本命だから。」
「お前なぁ…。」
「シュージ、早くしないとおいてくよ~。」
「ちょっ雨宮!待てよ!」
ハルカはシュージを置いて小走りで下駄箱に向かった。
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「……ということでみんな、受験本番まであっという間だからな。休み明けでだれるなよ。以上。」
きりーつ。れーい。
今日は席替えと今後の授業の進め方や大まかな事を決めて終了。
ハルカはアヤとシュージ、アヤの彼氏のリョウの4人でお昼を食べに駅前のファーストフード店に向かった。
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「ハルカ、まじで大学行かねーのかよ?」
ハンバーガーにかぶり付きながらシュージが信じられないといった顔でハルカを見る。
「べ、別に行かないなんて言ってないじゃん。」
ハルカはその話はしたくないという感じにシュージから目をそらす。
「雨宮はアヤと同じ大学行くって言ってなかった?」
そう言いながらリョウが問い詰めようとするシュージをなだめる。
リョウは去年から順星のミスターだ。
もともと優しそうな王子様タイプの顔で背も180cmもあるイケメンなので人気があったが、ミスコンの出場は推薦されても断っていたらしい。
だけど2年生でアヤと同じクラスになり、アヤに一目惚れ。告白した時に「順星ミスターになったら付き合っても良いけど」とアヤに言われた冗談を本気にしてミスターに立候補のだ。
2年生から投票数ぶっちぎりで2年連続ミスターになった。
アヤも本当はリョウの事を気になっていたことを私は知ってる。
最終的には順星の美男美女カップルで通ってるから、リョウがミスターになって良かったのかなと私は思う。