歩いて帰ろう~先生なんて大キライ!~
プロローグ ~始まりは突然の、雨~
「わぁぁぁ、サイアク!!!!」


突然の雨に、校内に残っていた私を含む
友人数人が窓辺に集まって
大声を上げた。


「傘持って来てないし!!」


私・・・藍沢恵麻(あいざわ えま)は
そんな光景をどこか他人事で
ぼんやり見つめていた。


その中でも深刻そうな顔をして
俯いたのが
一番の仲良し・・・。

親友って初めて呼べる友達・・・

橘 理沙(たちばな りさ)で。

突然豹変した顔色に気付いた私は
周りに悟られないように、そっとリサに尋ねた。



「リサ・・・?
ひょっとして今日・・・」


「うん・・・海里(かいり)のライブの日なんだ・・・

しかも初めての
単独ライブなの・・・。

濡れたままじゃ行けない・・・」


私の問い掛けに、
曇った表情のままリサは答えた。


リサの年上の彼氏はバンドのベースをやっている。


ライブの日、リサは必ず観に行っている。


こっそり学校に着替えを持ってきて
近くの駅で着替えて、
バッチリお化粧をしてライブハウスへと向う。


身長も高くて
モデルみたいに細いリサ。


長いサラサラの黒髪を下ろしてお化粧をしたら、
とても同級生には見えないんだよね・・・。


あまりに美人で
こっちがドキドキするくらい。
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