歩いて帰ろう～先生なんて大キライ！～

背後から聞こえた
その低い声に振り返ると
張本人が腕を組んで
立っていた。


｢いえっ、何もございませんですっ！｣


突然の本人登場に
変な日本語で答えるリサに、
わたしもブンブンと
激しく首を縦に振った。


｢…まぁいいや。
ガキの悪口なんざ、
痛くも痒くもねー｣


さっきとは打って変わって
笑顔もなく、
明らかに面倒臭そうに
頭をかきながらそう吐き捨てると
私を見た。


｢相澤、お前ちょっと
今から理科準備室来い｣


｢…え｣


｢教頭から助けてやったんだ。
オトシマエつけろ｣


｢…オト、オトシマエ！？｣


予想外の言葉に、
声が裏返る。


｢タダで返してもらえると思ったら
大間違いだ。

これだからガキは…｣


そう言うと、
冴木先生はスタスタと
戻って行った。