歩いて帰ろう~先生なんて大キライ!~
「あのオッサン、
執念深いんだよ。
ここまで追っかけてこられたら
たまんないからな」


そう言いながら、
天井へ向かって紫煙を
吐き出した。


「オッサンて…
教頭先生ですか?」


先生はゆっくりと
机の前の椅子に座りながら
こちらを見た。


目にかかりそうな
黒い前髪。


そこから見える
鋭く光る強い瞳。


初めて真正面から
先生の顔を見て、
なぜか胸がドキン、と
一度波を打った。


「オッサン以外
言いようがないだろ?
ハゲてるし」


その言い方に
思わず私は吹き出してしまった。


ふと視線を感じて
先生を見ると
タバコを口の端にくわえたまま
じっと私を見ていた。


「…先生?」


声をかけると
ハッとしたように
慌ててタバコを持ち直し、


「お、おう。
ボケッと立ってないで
そこ座れ」


その手で
机の隣の古ぼけた
ソファーを指した。
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