歩いて帰ろう~先生なんて大キライ!~
先生に言われるがままに
ソファーに腰をかけた。

ミシッとスプリングが軋む音がする。


特に何を話すわけでなく
沈黙が流れた。


(…き、気まずい…)


何か話題を探そうと、
忙しなく視線を動かしていると
いつからこちらを見ていたのか、
先生の鋭い眼差しにぶつかって
ドキッと胸が大きく脈を打った。


(まただ…何でだろう…)


私は自分の中の戸惑いが
どんな感情からくるのか
わからなくて。


答えを探すように
先生の瞳の奥を覗き込んだ。


「…ナニ?俺にホレたわけ?」


突然、先生は
ニヤリと薄笑いを一つ。


そして心底楽しそうに
口の端を引き上げてから
タバコの煙を吐き出した。


「なっ…!?」


予想外な高飛車な物言いに
私は生まれてはじめて


『開いた口が塞がらない』


を経験した。
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