歩いて帰ろう~先生なんて大キライ!~

先生は黙って私の手を見つめた後。


はぁぁぁぁぁ・・・。



(ヒ、ヒドイため息)


軽く頭を横に振ると
扉へと向き直った。


鍵を閉めると、
そのまま昇降口へと歩き出してしまった。



「ま、待ってください。

私の携帯!!」



(先生背が高いから、1歩1歩が大きいよー)



小走りで先生の後を追いかけながら
ぐんぐんと遠ざかる背中へそう声を投げると
ピタリと止まった先生が
怪訝そうな顔を向けてきた。



「お前はアホか?

そんな大きな声で携帯携帯言ったら

またあのオッサン来るぞ?」



(あ、しまった!!)



慌てて口を押さえて
あたりを見渡したけど
教頭先生どころか、誰一人いなくて
ほっと息を吐いた。


危ない・・・。
これじゃ自分から携帯持ってること
宣言するようなもんだ。


ふと人の気配がないことに気が付いて
先生を振り返ると。



そこにその姿はなく。
階段を軽快に下りていく音が
暗い校内に響いていた。



「だ・・・だから先生!
ちょっと待ってください!!」


人気のない校内ほど怖いもんはない。


私はダッシュで先生の後を追いかけた。
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