歩いて帰ろう~先生なんて大キライ!~
「お前んとこの家族、面白いな」
商店街の中を
先生はご機嫌で歩いていく。
私はすぐ横で自転車を押しながら
先生の声に耳を傾けていた。
「娘が世話になったのだから」と
お代を取らなかったお父さん。
そればかりか私に
「駅まで道案内してやれ!」と
追い出されてしまった。
「そうですか?
まぁ・・・マオちゃんは美人で
可愛くて一緒にいてあきないけど」
先生とマオちゃんが並んでいた
光景を思い出して
ポツリと口に出していた。
すると、先生はポケットに手を突っ込んだまま
私にグイッと顔を近づけてきた。
「何、藍沢・・・ヤキモチですか?」
「・・・意味が分かりません」
大きくため息をつきながら
先生の言葉をやり過ごす。
マオちゃんは自慢のお姉ちゃん。
ヤキモチ焼くまでもないもん。
そう思っていたけど・・・。
「ま、確かに藍沢のネーチャンは
美人だしお前とタイプ違うな」
実際先生がそう口にしたら
なぜか急に、また
モヤモヤとした気持ちに襲われて。
「でも・・・」