歩いて帰ろう~先生なんて大キライ!~


その日の夜。

お風呂に浸かりながら
今日一日のことを考えていた。

何とか家へ辿り着いたのはいいけど
家族の顔が見れなくて
すぐにお風呂へと逃げた。

でも・・・。

逃げた先のお風呂場の鏡で
制服を脱いでみてビックリ。

先生に吸われた跡が
首と鎖骨の境目辺りに
くっきりと付いていたから。

耳元のは自分では見えないけれど・・・。


自分で触れると
まだ先生の唇の感触が残っている気がして。

不意に先生の柔らかな髪が
首筋に触れたことや

タバコと交じり合った
先生の香りが思い出されて。


顔に全身の血が集まってきたみたいに
真っ赤になっていくのが分かる。



(・・・先生は・・・

なんでこんなことするんだろう・・・。

からかって遊んでるんだろうな・・・)



先生の行動の真意が分からなくて
胸の奥に棘に似たものが刺さっているような
変な感じ。


なんでこんなにドキドキしてるんだろう。

男の人と付き合ったことのない私には
刺激が強すぎるよ・・・。



「エマちゃん~?大丈夫?」



突然お風呂場の扉の向こうから
マオちゃんの声が聞こえてきた。


「マママ、マオちゃん!?ダダダダダ、大丈夫だよ!!」


(うっわー、変な声出ちゃったよ~)


マオちゃんは扉の向こうで
おかしそうに声を立てて笑っていた。

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