歩いて帰ろう~先生なんて大キライ!~
「ならいいけど!さっきから
ぶつぶつ言ってるの聞こえてたからさ。
なんか怪しい呪文かと思ったよー」
そう言いながら
扉を開けてきた。
(ま、まずい!!)
私は咄嗟に肩を沈め
顎ぎりぎりまでお湯に浸かって
首元を隠した。
「・・・なんか、えらい深く浸かってない?」
「そ、そんなことないよ。
ほら、肩までちゃんと浸からないとね。
風邪引くよって、お母さんうるさいでしょ」
あはははーなんて笑ってみせたけど
きっと顔がこわばってるんだろうなぁ。
我ながら顔に出すぎだと思う。
「ふぅーん。そっか。
エマちゃんのおっぱい成長したか
抜き打ちチェックしてあげようと思ったのに」
「なっ!余計なお世話だし!!
マオちゃんとは違うのっ!!!」
そんな私に気づかない振りをしてくれているのか
まるでエロ親父のようなマオちゃんから
益々隠れるように身を沈める。
「減るもんじゃないし、いーじゃなーい。
ケチだなぁ・・・」
そんなことを言いながら
マオちゃんが扉を閉めていく。
ホッとして少し体を浮かすと
マオちゃんが「あ、そうだ」
と言った。
「エマちゃん後で私の部屋来てくれる?
いらなくなった洋服貰って~」
「あ、うん。分かった」
「じゃーねー」と言いながら
遠ざかっていくマオちゃんの足音を聞きながら
肩を出しながら自分の胸を見る。
「成長・・・気配なしなんですけど」
ポツリとつぶやいた自分の声が
お風呂場に静かに響いた。