歩いて帰ろう~先生なんて大キライ!~
教室のある4階から
階段を降りながら、
リサが私に
腕を絡ませてきた。


「恵麻ちゃーん、
このご恩は一生わすれませーん。
お礼は必ずしま〜す!」


「わーい♪
何おごってもらおうかなぁ〜」


二人で寄り添うように、
じゃれながら進む。


「そうだなぁ〜、まずは恵麻のだーい好きな
江草先生と
もっと仲良くなれる
アイデアをプレゼントしたいなあ♪」


その言葉に私は慌てた。
私の片想いの相手…。

江草先生の名前が
急に出てきたから。


「しーっ!
そんな大きな声で
言わないでよ!!
誰かに聞かれたら
どうするの!」


「だぁいじょうぶだってー。
もうほとんど残ってないんだから。」


そう言いながら、
リサより背の低い
私の頭を撫でまわす。


「も〜、リサってば
自分が幸せだからって!
髪グチャグチャに
なるからやめて〜」


その時、ふと
スカートのポケットで
携帯が鳴っていることを
バイブが知らせている
ことに気がついた。


「あ、リサちょっと待って。携帯鳴ってる」


二人ともじゃれるのを止めて
階段の踊り場に立ち止まった。


ディスプレイを見ると、
知らない番号。


「…これ、海里サンの番号?」


リサに携帯を見せた
その時------。




「君たち!

今手にしている物は
なんだね!?」



………教頭先生の声が
辺りに響いた…。



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