【完】殺人者恋愛事件
「また、ね…」



そう返して、泰斗に背を向けたその瞬間。



後ろからすごいスピードで近づいてきた泰斗に、抱きしめられた。



ドキンッ



それは本当に、一瞬の出来事。




私が振り返ったときには、泰斗は私に背を向けていた。



こちらを振り向かずに手を振ってきたので、私は「かっこつけ…」と文句を呟いた。



でも嬉しかった。



抱きしめられたことが。



泰斗も、私との別れを惜しんでくれたことが。



好きなのは私だけじゃないって、実感したよ。


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