【完】殺人者恋愛事件
私は素直に雛姫さんのところへ行った。



今日はちょっと風が強い。



倉庫の隙間から入ってきた風が、私の髪を揺らした。




「…私、泰斗を玩具だと思ってた。毎日私の寂しい夜を埋めてくれる、私だけの都合の良い玩具。」



雛姫さんは私のほうを見ずに、そう話し出した。



た、泰斗が玩具って…いきなり何言い出すの?



「雛姫さん…?」



「でもあなたに言われて、やっと気づいたわ。
泰斗は玩具なんかじゃない。ちゃんとした感情のある人間なんだって。あんなに必死で誰かを守る泰斗、初めて見たもの。
私の中の泰斗は、いつも無表情で…何をしても、感情なんてないように感じた」



泰斗に感情がない…?



そんなの、ありえるわけがない。
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