【完】殺人者恋愛事件
口を挟もうと思ったけど、切なそうに外を眺める雛姫さんを見ていると、何も言えなくなった。



こんな雛姫さんの表情、見たことない。



雛姫さんはいつも、無表情で冷酷そうな表情をしていた。



いつも私を見つめる瞳も、毒舌を吐く口も、怖かった。



でも今の雛姫さんの表情は、そんなものは消えていた。



「私だって同じ。いつも感情がなくて、そのときだけ楽しければいい、気持ち良ければいいと思っていた。」




そこまで言って、雛姫さんは私を見る。



見つめ合う私たち。



雛姫さんの目、綺麗…。




「でも私にもあったの。ちゃんとした感情が。


…泰斗を好きという感情が。」




え………?



泰斗を、好き……?



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