私は先生のお嫁さん
遅れる…っていうことは遅刻…!?
それだけは避けたい…ッ!

だってやっぱり成績は大事だし…!


そう思い私はとっさに篤哉の手を握り部屋のドアの前まで急いだ。

「篤哉、早く戻ろう!
私、遅刻にはなりたくない!」

パッと後ろを振り向くと
南は目を一瞬だけ真ん丸くして驚いたがすぐにいつもの“南先生”に変わった。

その反対に今も目を真ん丸くして驚きを隠せずにいる篤哉。

私はとっさに掴んだ篤哉の手にギュッと一瞬だけ力を込めた。

「え、あ……おぅ。」

すると…その手を握りかえしてくれた篤哉。
よかった。…戻ったみたい。


さっきの篤哉はどこか違う人みたいに見えて少し不安だった。

“南先生”の顔で珍しくこちらをじっと見つめている…いや
睨んでいる南。

「…ッ!」

私は篤哉の手を握る力を緩めて離そうとした時だった…。

「…じゃあ先生方、俺らはこれで…!」

そう言って私の手を握っている方の手を少し上の方へあげるとすぐに手を引っ張り急いで教室に戻った。

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