私は先生のお嫁さん
部屋から出ると南の姿はもう無かった。

どうやらもう、学校に向かったらしい…。


「グス……。

いっけない…。支度しないと。私の方が遅刻しちゃう…。」

私…いつからこんなに涙もろくなったのかな…。
…もともと少し泣き虫かもしれないけどこんなことで涙するなんて…。

………あれ?

テーブルの上に置いといたはずの南の分のお弁当も朝ごはんも無くなって手紙とは言えないメモ紙が一枚、置いてあった。


千里へ。
朝ごはん、美味かった。ありがとう。
ごちそうさまでした。

心愛は俺が連れていったから心配するな。
帰りも俺が迎えに行く。


旦那様の南より。



「もう…、旦那様のってなにさ…。南ってば…全く。」

美味しかった。

ありがとう。

ごちそうさまでした。


考えれば、南の声が頭の中に降ってきた。
南の声なら、覚えてる。目を閉じれば南の顔も浮かぶ。

それを考えるだけで…嬉しくてまたもや涙があふれてくる。

心愛のことも、ちゃんと連れていってくれたんだ…。

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