私は先生のお嫁さん
いつからかな……?
南を目で追うようになったのは……。




昔からだ…。
思い出した。南と話さなくなるまではいつも、そして今も何かあると南を探して目で追っていた。

そして南をそばに感じると安心してなんかあったかくなった…。


「…たかったから。…そばに、感じたかったから南を。

…他の、ね…誰かと南が二人でいると、自分の心の中が真っ黒になって………どんどん汚くなっていく…。」

「うん。」

「…それで、私が汚くなったから…いけないのかな……?」


「それは違うよ。

ただ、千里は怖かったのかもしれない。自分の、思いが。」

「怖かった…?

…おかしいね、私。本当…、馬鹿みたい。」

「でも、それはおかしくない。

人間なんだから仕方ない。そういう生き物だと思うよ。人間って。」


それを聞いた時、自然と涙が頬を伝った。
まるで一粒と宝石がゆっくりきらめきながら落ちるように…。

バタン…

「…もぉ、我慢できねえ。おい、俺の女泣かしてんじゃねーよ。



……これ以上泣かせたら生徒だなんか関係ねぇ。

ただじゃおかねーぞ。」

私は、ドアが開いた瞬間に入ってきた姿、聞こえた声、に一気に涙が溢れてきた。

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