私は先生のお嫁さん
それから毎日、南くんは家に来て勉強を教えてくれた。

その結果か、成績はぐんぐん伸びた。

南くんのおかげで、ちょっと危ないかもしれないといわれていた志望校は見事に安全圏にまでなった。


受験まであと…1ヵ月。

あと少し、頑張ろう。
でも…この受験が終わったら……?

また、今までのようになっちゃうのかな?

「なぁ、千里。」


こんな時間も無くなっちゃうのかな…。


「…なに?」

「前から気になってたんだけど、

どこの高校受けるんだ?」

まだ言ってなかったっけ?

「南君が行った高校だよ。」

そういうと、隣で驚いたように目を見開く南くん。

そんな驚かなくても…。
私には難しいって思ってるのかな?


「どうしたの?」

「いや…別に。

だったら特に頑張らねぇとな。」

そう言って南君は



優しく笑った。


昔と同じ、あの優しい微笑み。


私も南くんに笑い返した。

そうだよ…。

安全圏だったとしても頑張らないと……。

南くんは、
私が小さいとき言った事

覚えているのかな?


例え約束を忘れられていたとしても、私は絶対に約束を守る。

少しでも、繋がっていたいから。

南くんと………。

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