向こう。
坂野が急に黙ってしまった。
不審な行動に少し疑問が生まれる。
舞瀬も同じことを思ったのか、身を乗り出して聞いた。

「…けど?」

舞瀬の目力は強く、有無を言わせない鋭さがある。

「…うん、え…っと……
あの、僕の…か、彼女の方が、かわいいなって…」

ゆっくりと弱く言われた声に俺達は固まった。

「はあぁぁぁ!?
お前、彼女いたのかよ!?」

俺が驚くより先に、舞瀬は叫び声を上げていた。
坂野は恥ずかしそうにしながら、こくんと頷いた。

「…で、その彼女って誰なんだよ?」
< 133 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop