向こう。
俺は深い衝撃を受けた。
父さんは母さんを愛してなどいない。
忘れられる程の存在だったのだ。
それどころか、いつまでも悲しんでいる俺を怒っている。
俺は唯一の心の寄り所を、一瞬にして粉砕されたように感じた。
しかしそれで父さんを憎んだり怒ったりすることはなかった。
小学生の小さな世界に、家族以外の外の世界は、まだ信頼出来るものは無かった。

これ以上、父さんに嫌われたくない。
そのためには周りに迷惑を掛けてはいけない。
もう悲しんでいるところは見せてはいけない。
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