向こう。
どんなことを思っても、表面では絶対に出さない。
俺がそんなでも、近付いて来て声を掛けてくれる人はいた。
しかし優しい笑顔を向けられても、俺はそれに答えられなかった。
自分の感情に素直になると、泣いてしまいそうで、迷惑を掛けてしまいそうで。
必然的に表情は無くなり、無口になっていく。
中学校に上がった頃にはもう友達と呼べる存在は、いなくなっていた。
寂しいという感情は無かった。
とにかく他人に迷惑を掛けていなければ、それで良かった。
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