向こう。
『自分に正直になる。』
今までそれが凄く難しかった。
だけど今なら、舞瀬がいるなら出来る気がする。
俺は舞瀬と少しだけ離れて、出来るだけしゃくり上げないようにしながら口を開いた。

「俺…っ……俺、舞瀬が……好き………」

自分の気持ちを伝えるのが、こんなにもドキドキすることだったなんて。
壊れそうなくらいに早い鼓動を打つ心臓と、燃えるくらい熱くなる身体。
だけどそれが辛いわけではなくて。
辛くはないのに、胸が締め付けられているような苦しさを覚える。

苦しいのに辛くない。
普通に考えたら矛盾しているようなのに、それが今の俺なのだ。
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