向こう。
舞瀬は笑ってこそいるが、事実と違うことを広められてしまい、そのせいでみんなと壁が出来てしまったことに悲しく思っている。
諦めとも取れるその言葉に、俺はどうしても納得出来なかった。

「舞瀬…ちゃんと真実を知ってもらうべきじゃないのか?」

「…いいよ、別に。」

俺の予想を大きく反し、舞瀬の答えはあっさりとしていた。

「何で、だよ…?」

「最初は、みんなが恐れるようになって、傷付いたし苛々した。
でもそんな中でも、坂野や中森、他にも沢山分かってくれてる奴らがいる。
俺はそれで十分だ。」

「舞瀬…」

「それに、凪も分かってくれたろ?
それだけで俺は嬉しいよ。」

柔らかく微笑む舞瀬に、ほっとする。
それと同時に眠気が訪れる。

「俺…」

「ん、眠くなってきた?」
< 77 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop