向こう。
いつものように靴を履き換え、階段を上って教室に入る。

「凪ー!おはよー!」

いつもと違う、挨拶の声。
俺に挨拶をする奴なんて、今までいなかったのに。

「舞瀬か…」

「何だよ、俺じゃ不服か?」

むくれ顔になる舞瀬がなんだか面白くて、俺は目を細めた。

「違う。
まあいいや、おはよう。」

「……っ」

不意に舞瀬が口元を押さえて、顔を背けた。
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